毎年冬に通っている酸ヶ湯温泉ですが、今回は夏に訪れてみました。全身全霊で癒された2泊3日でした。本当は私だけの秘密にしておきたい秘湯ですが、今回レポートします。
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酸ヶ湯はこんなお宿
国民保養温泉地の第1号である酸ヶ湯温泉。青森の山中、八甲田にある1件宿です。 青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50番地、TEL: 017-738-6400。駐車場完備、青森市内からの送迎バスも出ているため車がない方でもOK。「千人風呂」と呼ばれる大きな混浴の温泉が自慢のお宿。
混浴について。
混浴と聞いて、どんなイメージを持たれますか?女性は「私には無理!」などと思われるかもしれませんね。私も初めて酸ヶ湯に来ることになったときは緊張したのを覚えています。けれどね、入ってみたらイメージが変わるんです。なんとなくイメージするような、いやらしい雰囲気は一切ありません。むしろ混浴では男性のほうが気を遣ってくださるので申し訳ないくらい。
ちなみに酸ヶ湯のお湯は真っ白でお湯の中は見えませんし、冬は湯気がもうもうなので全く周囲の人の身体なんかは見えません。夏は湯気がなくクリアな空気なのですが、売店に行くと混浴の浴槽に着て入れる湯浴み着が売っていますし、女性専用時間もあるので気になる人も十分楽しめます。
実際に私が酸ヶ湯以外にもいくつかの混浴を体験して思うことは、混浴は自然なことだということです。男だとか女だとか関係なく、みんなで一緒にお風呂に入って「気持ちいいね」って言いあう。とっても自然で、男だ女だとこだわることがばからしくなってくるくらいです。
しかし、世の中には混浴はまかりならんという流れがあるようです。そういう主張をされる方には、一度実際に入ってみていただきたいです。誰もやましい気持ちで混浴に入ってはいないのがお分かりいただければと思うのです。
話はそれましたが、ここから酸ヶ湯の紹介です!
夏の終わり、酸ヶ湯を訪れる。
酸ヶ湯に行くのは毎年冬の行事だった。
酸ヶ湯に行くのは、毎年冬のお楽しみでした。いつものメンバーで毎月積み立てをして、そのお金を握りしめてみんなで酸ヶ湯に旅に行く、これが恒例行事なのです。
今回は、お連れ様と2人で抜け駆け酸ヶ湯旅を決行しました。まあ、青森に用事があったのでついでに酸ヶ湯に行っちゃえ!という話なのですが、今回は豪快に2泊することにしました。やってみたかったの!連泊!昼間っから酸ヶ湯を楽しんでみたかったの!
夏の八甲田は見処たくさん。
いつも冬に来るので、酸ヶ湯のある八甲田は雪に閉ざされています。観光名所である「まんじゅうふかし」や「地獄沼」などもすべて雪の下に埋もれてしまって何も見えなかったのですが、今回初めて夏に訪れてそれらの観光名所を見られる運びになりました。ですので、冬にはチェックイン時間の15:00に合わせて到着するように訪れる酸ヶ湯ですが、今回は早めに八甲田にのぼり観光名所を巡ったりします。
今回はお天気の関係もあって初日に八甲田ロープウェイで山登りをし、八甲田ゴードラインをトレッキング、山を満喫してからの酸ヶ湯到着になりました。
酸ヶ湯に到着。
到着すると、まず駐車場の隅に清水が沸いています。これ、冬には雪の下になっていて見えないので初めて存在を知りました。違う季節に来ると発見があるもんだな。飲んでみると、すっきりとした味わいのお水。
こちらの表示から、このお水が「辰五郎清水」と呼ばれるものだとわかりました。辰五郎とは、ここ八甲田の山でかつて「仙人」と呼ばれた鹿内辰五郎さんのことだと思われます。鹿内辰五郎さんは軍人さんのいでたちで勲章を胸にたくさんつけ、50年以上も八甲田の山で案内役を務めた方で、ここ酸ヶ湯とゆかりの深い人です。
こちらが先ほどの清水を背にした全体的な外観です。どうです、歴史と風格のあるどっしりした構え。ちなみに写真に写り切っていないのですが、この右手にも左手にも別棟があり全体の大きさはこんなものではありません。山の中の一軒宿なのですが、「ひなびた」という形容詞はちょっとあてはまりません。どちらかというと威風堂堂といった雰囲気。
こちらが先ほどの写真の左手にある3号棟。今回姫がとったお部屋がこの3号棟の一室です。割と最近建て替えられた新しいお部屋です。
建物右手にはそば処が併設されています。名物酸ヶ湯そばが食べられます。立喰いとありますが建物中側から入るとちゃんと座って食べられるテーブル席がありますよ。
建物すぐ横には生姜味噌おでんを買えるスペースが。お外で食べるのも気持ちよさそう。
ここまでが外観です。正面より入り、早速チェックインを済ませます。コロナ時代の今回、入り口で体温チェックがありました。モニタに上手に当てはまると体温を読み取って、機械が判定してくれるシステム。この機械の判定、音声なのですがものすごくぶっきらぼうで面白かったです。「体温が正常」とか「(立つ位置が)遠すぎる」とか、何かを翻訳したような敬語なしな感じで笑えました。せめて「体温が正常です」とかいえばいいのに。
いざ、酸ヶ湯の中へ。
フロント横の剥製たち。八甲田の山にはこんな子たちがいるのね、なーんて見惚れていてはいけません。大事なのは剥製ではなくその上の絵画。これ、棟方志功さんの絵です。酸ヶ湯温泉は棟方志功さんが愛してやまなかった温泉です。建物のいたるところに棟方志功さんの書いたものがあるんです。先ほど話した鹿内辰五郎仙人も棟方志功さんと懇意だったそうですよ。
フロントはこんな感じで、今はビニールカーテンがありますね。山のお天気なんかも掲出されています。
フロント向かい側にはお土産どころが。おみやげ物はもちろん、酸ヶ湯は湯治宿としても機能しているため、自炊する当時客のための日用品、食料品なんかもあって面白いラインナップになっています。看板のお隣に見えるのが湯浴み着です。混浴に抵抗がある人はぜひ購入を。税込み¥1100で、何度でも使えます。分厚い不織布でできていて、フェルトのような質感です。透けることもなく、脱衣所には脱水機があるので入浴後はそこで脱水をかければいい仕組みです。
こちらはロビーです。青森らしく小さなねぶたがあります。後ろに見える書はこれまた棟方志功さんの筆です。
その右手には八甲田山の清水が。さらにこの右手には千人風呂がありますので、湯上りにこの冷たい清水を飲むと本当に気持ちがよかったです!
これが千人風呂の入り口です。右手が女性の脱衣所、左手が男性の脱衣所。脱衣所はしっかり分かれています。ここからお風呂の中は写真は撮れませんので、酸ヶ湯温泉の公式サイトより画像を引用します。
女湯の脱衣所で衣服を脱ぎ浴場への扉を開けます。階段を降りると千人風呂に突入です。この写真でいうと右手が女性の脱衣所。右手にはついたてが見えますね。はい、そうなんです、女性側にはこうしてついたてもありますので、女性専用時間以外や湯浴み着を持っていないという方はこのついたてのかげのお湯だけを楽しむこともできます。
写真一番手前に見えている大きな浴槽が「熱(あつ)の湯」、奥側が「四分六分の湯」。男女それぞれのスペースに「冷の湯」というかぶり湯があって、左手奥に打たせ湯があります。
ちなみに浴槽には看板があって、ここから先は女性エリア、ここから先は男性エリアとエリア分けがあります。
それでも混浴はちょっと、という方にはこちら。玉の湯という男女別のお風呂もあります。千人風呂はつかるだけで洗う場所はないのですが、こちらの玉の湯にはさら湯のシャワーがあって、洗うことができます。ボディーソープ、シャンプー、コンディショナー完備。
こちらが玉の湯の男性用入り口です。
館内のねぶた絵のステンドグラスです。きれい。
ステンドグラス奥には休憩スペースがあります。右手には自販機もあります。
マッサージ室もあります。温泉に癒されて、さらにマッサージなんていかがでしょう。
サロンもあります。休憩したりする場所で、大きなテレビが設置されていて、くつろげる空間です。中はこーんな感じ。
その向かいには棟方志功さんと鹿内仙人の写真がある回廊と、カラオケスナック「ぶな林」があります。
突き当りにある「神舞閣」。美術品と休憩スペースがあります。
こちらは旅館部の廊下です。風情があるでしょ。酸ヶ湯温泉の宿泊は、旅館部と湯治部があります。それぞれ食事をつけることも自炊も可能です。
自炊できるので、普通の旅館にはない様々な設備もあります。
湯治部入り口にある浴衣置き場です。おひとり1日につき1枚まで。
食器もあります。持って行って使うこと可能。使ったらきちんと洗って戻すしきたりです。
こちらは流し兼冷蔵庫。冷蔵庫?と思った方、こちらを見て!
こんな風に使います。きゅうりとトマトが冷えています。
ガス台やレンジもあります。
ザーッと紹介していきましたが酸ヶ湯の中はこんな感じです。今見ると写真が残っていなかったのですが、このほかに食堂、大広間があります。
宿の楽しみ!酸ヶ湯のお食事。
さあ、あとはお食事の写真です。食事は旅館の楽しみの一つでもありますよね。
1日目の夕飯です。
飲み物にはビールと飲み比べセットを。
こちらが朝ごはんです。以前はバイキングスタイルだったのですが、コロナ対策でこうした形式になっていました。
こちら2日目のお夕飯。連泊しても全く飽きないくらいガラッとメニューが変わっています。飲み物は全く同じ、ビールと飲み比べセットをお願いしました。
酸ヶ湯料金表
さて、酸ヶ湯に宿泊する際には旅館部と湯治部があるというのは書いた通りです。では、それぞれおいくらなのか、食事をつけるとどうなる?自炊だと?という質問に答えるべく、料金表を掲載しておきます。2020年9月の酸ヶ湯の料金表です。
こちらを参考にしてください。今回姫が泊まったのは三号館。新しくって、お部屋にお手洗いがついているタイプです。三号館は旅館部対応も湯治部対応もできるお部屋なので両方に記載がありますね。ちなみに旅館部でお食事をつけた時と、湯治部で食事をつけた時の食事は違うものです。今回は旅館部の食事でしたが、湯治部の食事も素朴でいいものが出てきますよ。
まとめ。
遠くの温泉地で癒されたい、なーんて漠然と考えている方にはおすすめの宿です。姫の夢は10日間くらい湯治で連泊すること。下界の暮らしを忘れて夢のような温泉につかりながら日を過ごしてみたいです。
余談ですが、姫はお連れ様が死んで若くして未亡人になることがあったら、余生は酸ヶ湯に住み込みで働かせてもらえないかなあと夢見ています。そのくらいいい温泉なんですってば!
